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巨匠フィル・ティペット

ブログ担当:中岡 翔平(PLANNER)

最初に言っておきます。
今回長いです!パッションが溢れすぎました。すみません!
それでも「読んでやるか」と思っていただける
心優しい方は先にお進みください。

僕は80年代、90年代初期の映画が大好きです。
そこには人々を熱狂させてきたレジェンドたちの
「ものづくり」に対する数々の努力と工夫、
完成まで決して諦めない姿勢が、
作品からこれでもかと言わんばかりに伝わってくる
黎明期といえる時代だから。

今回は、僕が尊敬してやまないレジェンドの一人を紹介させていただきます。
ただ、その前にまず『ストップ・モーション』という技術をご存知でしょうか?

【ストップ・モーションとは】
静止している人形や物を、カメラで撮影し、少し動かして再度撮影、少し動かし…これを繰り返すことで、あたかもそれ自身が連続して動いているかのように見せる撮影技術、技法のことです。コマ撮りとも言われることも多いですね!

その『ストップ・モーション』を確固たる映像撮影技術として昇華させた特殊撮影を語る上で避けては通れない人物。

フィル・ティペット という人物がいます。

彼は、7歳の時に観たレイ・ハリーハウゼンが特殊効果を手掛けた
『シンバッド七回目の航海』に感銘を受け映画の世界を志しました。
※これもぜひ見ていただきたいほど素晴らしい創意工夫の結晶です。

※著作権に配慮しながらも、イメージ共有したかったため中岡の力作イラストでお送りしております

それ以来、物体を映像表現で動かすことに没頭した彼は、
芝刈りのバイト代で、8mmフィルムカメラを購入し、
独学で『ストップ・モーション』アニメーション作品を精力的に制作し始めます。

制作した映像を友人に見せると、その映像に驚き、称賛しましたが、
両親は違いました。
それが一体何のためになるんだ、将来のことを考えるべきだと叱咤します。

両親の意見には目もくれず、繰り返し繰り返しトライアンドエラーし続ける。
異常なまでに映像制作にのめり込んでいたため姿に、
「息子は悪いものに取り憑かれているんだ」と両親に精神科へ連れて行かれた事もあったほど。そんな周りの心配をよそに彼の作品づくりは続きます。

ある日彼が尊敬してやまない『レイ・ハリーハウゼン』に会う機会が訪れました。
1968年、彼が17歳の時です。
それを皮切りに、周りにも同じ志を持った仲間ができ始めます。

自身の成長と共に、徐々にその技術とセンスは着実に評価され、
ついには実際の映画制作の現場に入り、その才能を遺憾なく発揮していきました。

そして、コマ撮りアニメーター、SFXアーテ­ィストに留まらず、さらには映画監督として名を馳せた彼は、まだ特殊撮影の技術が少なかった時代に、長年培った『ストップ・モーション』を活用し、実在しない空想のクリーチャーや怪獣たちに次々と命を吹き込んでいったのです。

いまでは誰もが知っているスターウォーズのジャバ・ザ・ハットも実は彼の作品。

幼少期から夢中になった世界、その道のプロフェッショナルとして夢を叶えたフィル・ティペットですが、ある作品を期に大きく変化します。

その作品は1991公開の『ジュラシック・パーク』。
もし、お気に入りの映画は何?と聞かれたら真っ先に答える作品です。

スピルバーグ監督が手がけたこの映画は、決して会うことができない恐竜をこれ以上ないほどの臨場感で表現した作品です。

世界中の人々を熱狂させ、子供たちの夢を叶えた偉大な映画。もちろん僕自身、例に漏れずSense of wonderを全身で感じた一人です。

しかし、その偉大な映画の影には、とてつもない苦労も隠れています。

当初、恐竜の動きはフィル・ティペットが指揮をとり
『ストップ・モーション』の進化系、模型を実際に動かして撮影する技法
『ゴー・モーション』で制作陣はプロジェクトを進めていました。
スピルバーグ監督も恐竜の動きを表現するために
彼のアニメーションスキルを前提として、撮影の準備をしていました。

実際にリアルな造形で実物大の模型とミニチュアを用意し、アニメーションの検証として、膨大な時間をかけながらテスト映像の制作は始まっていました。

その最中、フィル・ティペットがVFXの制作会社、ILM(Industrial Light & Magic)時代に関わりのあった、デニス・ミューレンは、「恐竜をコンピューターで作らせてほしい。 頭からつま先まで」と、CGI史上前例のなかった“生物”のアニメーションをスピルバーグに提案します。

ミューレンのチームが制作したCGIテストアニメーションを見たスピルバーグは驚愕。生き生きとまるで本当にそこにいるかのような恐竜たちの動きに言葉を失いました。その時点で、スピルバーグは『ゴー・モーション』の代わりに全編でCGIを使用することを決意。

突然、フィル・ティペットは降板となります。

 

ただ、CGIのスタッフはコンピューターは使えますが
映画製作の知識はなく、俳優の目線などを考慮する必要があったため、
ジュラシックパークには生物の動きに精通し、映像表現の専門家である
フィル・ティペットの協力は欠かせませんでした。

映像表現は不採用となりましたが「演出家」として制作に深く関わっています。
それでも、CGIの技術は彼に大きなショックを与えました。
親の目も気にせず信じて疑わず、膨大な時間を費やし勝ち取った夢が、一瞬で崩れさったのを目の当たりにしたのです。

事実、この出来事は特殊撮影において映画を語る際は、明らかに
ジュラシックパーク前と、ジュラシックパーク後で分類できるほど、
映画界の歴史に大変革を与えました。

一方で、この件で彼は精神を病み、体調を崩し、二週間以上寝込んだそうです。

あるインタビューでは当時を語る際に
銃口を口に押し込むジェスチャーもしていたので
彼の精神的ダメージは、その選択肢も浮かんだほどだったのでしょう。

しかし、そこで終わらず、自らの経験を生かし、
VFXの最先端を担うスタジオとして、自らのチームを拡張し、さらなる実績を積み重ねていきました。大規模なエイリアンの戦争を描いた『スターシップ・トゥルーパーズ』の臨場感あふれる戦闘シーンは彼のスタジオの功績です。

2000年には1年足らずで、175ショット、17を超える地球外生物をデザイン、アニメーション化しています。間違いなく、現在の映像表現を築き上げたレジェンドの一人でしょう。

さらに、彼は近年自主制作の『ゴー・モーション』による短編作品をライフワークであると公言し、制作資金を Kickstarterで集めた 意欲作MAD GOD制作しています。

そして海外先行で公開された、日本人が7年という時間を費やし、たった一人で創り上げたストップモーション映画が、今年3月26日ようやく日本に逆輸入公開され、話題になりました。こうしたレジェンドにより、新たなレジェンドが生まれる瞬間を見るたびに「ものづくり」の可能性の広がりを感じます。

いま、ものづくりを職業としている僕ですが、
このエピソードはものづくりの面白さや深み、
完成したモノだけが全てではなく、裏側を知る事で、
よりそのモノを愛することができる。ということに気づかせてくれました。

今までも、これからも、一生、ジュラシックパークとフィルティペット、
そこに関わった全ての人たちに、最大のリスペクトを送り続けたいと思います。

ちなみに、彼がジュラシックパークのCGIテストアニメーションをみた後、スピルバーグ監督に呟いた、「俺は絶滅(失業)だよ。」という皮肉は、映画の中で、考古学の専門家であるグラント博士が、生きている恐竜を見て呟く台詞として採用されています。

フィル・ティペットの『ストップ・モーション』がどんな映像なんだろう…と興味を持たれた方、
なんとDVDの特典映像に収録されていますので、ぜひご覧になってください!
子供たちがヴェロキラプトルから逃げ、キッチンに身を潜める緊迫したシーンをまるまる観賞することができます。えげつないクオリティです。

ブログ書いてテンション上がったので
フィル・ティペットへのリスペクトとして、
このシャツを着て仕事します!

みなさまも、お気に入りの作品やものの裏側、掘り下げて見ると、より大好きになれるかもしれませんよ!

それでは!

この記事を書いたのは

PLANNER

中岡 翔平

なにやらせても、なんとかする
好奇心旺盛で、「興味が湧いたら飛びこもう!」がモットー。
紙・web・写真・映像など、幅広い媒体を扱い、知恵と工夫でカタチにする男。
ものづくりの現場を経験してきたからこそ、現場とクライアントをスムーズにつなげ、“つくれるプランナー”として企画から納品までをスムーズに進行します!

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